縮緬(ちりめん)とは、絹を平織りして作られた織物である。経糸には無撚糸を、緯糸には強撚糸を使うことで、縮緬独特のシボを出している。洋服地ではクレープと呼ぶ。現在では絹以外の素材を使っていても縮緬と呼ぶ。
経糸に強撚糸をつかうと楊柳、経糸緯糸ともに強撚糸を使うとジョーゼットになる。
かつての縮緬には製造メーカーと織り手の名を記した和紙のこより、「渋札」がつけられていた。これは現代で言うところのトレサビリティを担保するものである。現在は、不滅インク等(耐精練用のインク)を使用して 製織年月日、機番号等を捺印している。
(出典:成田典子(2014) テキスタイル用語辞典 テキスタイルツリー p.106 )
京都府の丹後ちりめん、滋賀県の浜ちりめんなどが有名。
16世紀末、盛んだった南蛮貿易の中で明から堺へ伝えられた。この時同時に伝えられたものに綸子がある。その後京都の西陣、丹後、長浜、岐阜、桐生など各地に広まった。友禅染が縮緬の普及に貢献したといわれる。
(出典:成田典子(2014) テキスタイル用語辞典 テキスタイルツリー p.107 )
シボがあることでシワがよりにくく、しなやかな風合いに優れ、凸凹の乱反射によって染め上がりの色合いが、豊かな、しかも深みのある色を醸し出すことができる。
(出典://www.shibata-orimono.com/c01/)
シボのある織物の呼称には多くの種類があるため、簡単に区分を記載する。
名称 | 撚糸 | 備考 |
---|---|---|
クレープ | 総称であるためこだわらない | シボのある織物の総称。シボが大きい場合縮緬と呼び分けることがある。 |
縮緬 | 経糸無撚糸、緯糸強撚糸 | シボのある織物の総称。シボが小さい場合クレープと呼び分けることがある。 |
楊柳 | 経糸無撚糸、緯糸強撚糸 | シボだし加工を施す |
経縮緬 | 経糸強撚糸、緯糸無撚糸 | オリエンタルクレープなどがある |
ジョーゼット | 経緯強撚糸 | 撚りがより強い |
シフォン | 経緯強撚糸 | 撚りがより弱い |
ニノン | 経緯強撚糸 | シフォンより密に織り、精錬してセシリンを除去する。 |